スタジオモデルノ

誰に依頼するか。各ビルダーの特色や価格の違い、アメリカのビルダーか国内のビルダーか。サークルズさんに相談していく、概算の見積もりを取ってもらい再検討、予算調整。何度かのやり取りを終えた時、ふと眺めていた自転車雑誌のビルダー特集のページに目が留まる。エンメ・アッカという工房で、岩手県の有名ビルダーだった。“岩手県宮古市“引っかかるものがあった。翌日Ｈ．Ｐを見つけ、ブログを読んでいくうちに東日本大震災３．１１で工房に津波が襲い機材や材料が泥をかぶり使用不能、その年の１１月にようやく製作を開始することが出来る状態になったという。

自分にとって自転車は趣味というか楽しみを享受出来る道具。この計画はそもそも叔父から貰った臨時収入からスタートしている、そのお金を使って自分の物を買うことで使おうとしている。稀に見る災害が日本という国に起きたことをこの先、たぶん自分が死ぬ時まで忘れない為にも、実際に被害に遭われた方に製作を依頼して形を残しておくことで常に意識できるのではないか。そういうお金の使い方も良いかもしれない。

思い切って連絡をしてみる。自転車に乗り始めて２年弱の素人にフルオーダーバイクを作ってもらうことが出来るのか。
代表の盛合氏は快く受け入れてくれた。自分の要望を伝え、身体的特徴をサークルズさんで測定してもらい送付する。
そこからパーツの選定、細かい要望を伝える。基本は盛合氏の判断にお任せした。

しばらく経って図面が送られてくる。少々修正をお願いして再作図。
パイプメーカーの選定（パイプメーカーも数社あり、さらに種類もある）
パイプの径や曲げ加工などの説明を受け、製作開始。
盛合氏からは各工程後の写真が説明と共に届き、いやがうえにもオーダーバイクの実感が
湧き上がる。
製作は一週間強、そこから塗装工場へ。

指定色は浅葱色の艶消し。これは息子達の五月飾りの鎧に使われている日本の伝統色で、ごく薄い藍色。よく知られたところでは新撰組の羽織の色でもある。

完成した旨の連絡を受け、翌日宅急便でダンボールが届く。そのダンボールの大きさとは想像出来ない軽さ、開封する。

これがオーダーバイクか。
特に指定はしていなかったけれどロゴはシルバー、Ｄ．ＭＵＲＡＳＥとある。
久しぶりにドキドキする。

計画自体内密に進めていた為、妻に請求書を渡す時もかなりドキドキしたけれど。

後はサークルズさんでパーツをお願いして組み付けてもらう。一応選定済み。
乗れるまでは少し時間が掛かりそうだけれど、自分に誂えた自転車とはどうゆうものなのか、どうゆう景色を自分に見せてくれるのか非常に楽しみにしている。

最後にフレームを製作いただいた盛合氏、様々な相談を快く受けてくれたサークルズさんに感謝を致します。
もちろんこんな機会を与えてくれた叔父にも感謝します。
ありがとうございます。

さぁ、残りの金策だ。

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